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アレッポの石鹸について

アレッポの石鹸 | シリアの気候と特産物 | 石鹸の原料 | 製造 | メーカー

アレッポの石鹸

石鹸の起源はメソポタミア文明の時代(BC3000)、灰と油を混ぜた石鹸の原型のようなものがあったとの事。シリアは石鹸発祥の地とされ特にアレッポ市は「アレッポの石鹸」として有名です。アレッポ市はシルクロードの交易地として栄え、世界最古のスークがありこの伝統ある石鹸がいたるところで見られました。オリーブオイルとローレルオイルが原材料で、石鹸のことをアラビア語で「サボンまたはシャボン」。アレッポの石鹸の事は「サボン・ハラブ」とか、シリアの石鹸という意味で 「サボン・スーリ」、月桂樹の石鹸「サボン・アル=ガール」とも呼ばれます。10世紀にアルカリの発見により飛躍的に石鹸の製法技術が高まり、今のような形となり生産量・輸出量も伸びてゆきました。

石造りの建物が多く、中に入るとぷ~うんとあの石鹸独特の香が漂っていました。 オヤジと話をしながら一歩入れば、綺麗に石鹸が天井まで積み重なっています。 10Kg袋に入れられそのまま手渡されるようになっているのも珍しくありません。

石鹸街ではどの店にもかならず軒先に太い針金が吊るしてあります。お客様にその場で石鹸を切って中の緑色を見せてくれるのです。慣れているのでまるで豆腐を切るようです。(実際にはかなり力が要ります→石鹸の切り方

現地で売られている石鹸には細かくグレードが記されています。石鹸に刻印がされていて、ホテルのように星が並んでいたり、 アラビア語の数字で書いてあったりします。時には何も書いていない極上も有りますがおそらく輸出用ではないかと思います。観光客はお土産にせっけんを買っています。重いのですがあちらこちらの店で山積みされていればひとつやふたつ欲しくなってしまいますね。尚、主都ダマスカスでも購入できました。奥からこれは特級品と言って持ってこられたのが、なんと日本への輸出用のアデル・ファンサ社の商品だったのです。

シリアの気候と特産物

シリアのオリーブ畑 アレッポの石鹸の材料
地中海に近いエリアは地中海性気候、内陸部は乾燥したステップ気候/砂漠気候。古代より豊穣な地域でありオリーブ、ローレル ピスタチオやアーモンドなどが特産。

石鹸の原料

オリーブローレル(月桂樹)の実を絞ったオイル、鹸化させるための水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)、少量の水から成ります。香料や起泡剤、保存料などの添加物は一切ありません。アレッポの石鹸で使われるローレルはラタキアからトルコにかけての地中海沿岸に自生。オリーブは広い範囲でほぼ無農薬栽培されています。乾燥した気候ゆえにあまり虫もつかないので農薬は不要との事です。オリーブもローレルの実も傷がつかないようすべて手摘み。メーカーでは良質のオリーブを見極めるため、当主のアデルさん自らがサンプルを火にかけ鍋から出る音を聞きその年の材料を選択するそうです。材料の出来が悪い年は生産を見合わせるとの事。

オリーブの実
オリーブの実
オリーブオイル中の脂肪酸の約70~80%はオレイン酸。一番の特徴は酸化されにくい脂肪酸という事と人間の皮膚細胞に近いPHであるという事です。ポリフェノールやビタミンE、スクワレンなどの成分も微量ながら含まれます。アレッポの石鹸の潤いはこのオイルの成分の働きのためです。オリーブはブドウと共に人類により初めて栽培された果実
産地:地中海沿岸からシリア内陸部 シリア農園によるオーガニック栽培 モクセイ科オリーブ属
2番絞りのオリーブオイル 石鹸に使われるオリーブオイルは食用にした実の2番搾りです。高圧搾作業により果皮・果肉も含まれるため濃い緑色です。ホムス近郊の搾油工場にて 2019年1月
ローレル/ローリエ/月桂樹
ローレル / ローリエ / 月桂樹の実
ローレルの葉
ラテン名 Laurus nobilis
クスノキ科ゲッケイジュ属 
地中海沿岸原産

月桂樹は英語でローレル(laurel)、フランス語でローリエ(laurier)。語源はラテンゴの称賛を意味するlaurus。その後につくnobilisは名高いとの意味です。勝利や栄光を象徴する薬草で、古代ローマ時代に優れた詩人や文芸の偉人たちを称賛するため月桂樹の冠を与えていたとの事です。その由来はギリシャ神話にでてくるアポロンのお話しにあります。詩歌文芸の神であるアポロンは精霊のダフネを慕っていたが、ダフネは拒絶。そしてついにアポロンがダフネに触れた時にダフネは月桂樹の樹と化してしまいました。ダフネを諦めきれないアポロンはその木から枝をもらい生涯月桂樹を身に着け、聖木としたとの事です。


<葉に含まれる成分>
爽やかな香りの素はシネオール、ゲラニオール、リナロール、オイゲノールという物質。
葉にはビタミンC、ビタミンA、ビタミンB、葉酸、また微量ながらもミネラル成分その中でもセレンはビタミンEによく似た性質。ビタミン類は抗酸化作用に関連。

<昔から伝えられている効用>
・消臭・抗菌 菌の繁殖を抑える 1,8-シネオール 
・消化促進 生薬として利用 1,8-シネオール
・抗炎症作用 リュウマチや関節炎の痛みの緩和に塗り薬として利用 パルテノリド
・防虫・抗かび 食料を保存する瓶の中で利用 オイゲノール
・肌や頭皮乾燥防止とフケ防止
・精神安定 香成分による心理作用

<ローリエの栽培>
雄雌異株。葉は深緑で光沢があり皮のような質感で、先端が尖ったやや細長の形。5月にクリーム色の香のある花をつけ10月頃実を付けます。寒さには強く氷点下にならなければ外での栽培が容易。成長は早く40mにもなります。剪定をしながらトピアリー仕立てにして楽しむか、鉢植えで時々葉を摘みながら楽しむのもよいでしょう。移植を好まない植物です。鉢の場合3年-5年に一度位の植え替えをしてあげて下さい。

<洗髪と手洗いに>
ローレルは古代ローマ・ギリシャ時代から利用されていたハーブ。特に消臭・抗菌作用に注目されていた薬草です。料理はもちろんのこと、生薬や防虫としても多くの利用がありました。

アレッポの石鹸はオリーブオイルのほかに、月桂樹の実を絞ったオイルから作られます。沢山の実からほんの少ししか取れない貴重なオイルのため高価です。この月桂樹に含まれる成分から肌や頭皮の健康に繋がります。エキストラ40はアレッポの石鹸の中で一番ローレルオイルが豊富です。特にお薦めしたいのは洗髪です。私の経験では、使い続けると美容師さんが気づくくらい髪が元気になりました。手作りのハーブリンスにもローリエを入れて下さい!

コロナウィルスというよからぬ菌による肺炎が流行っています。しっかりと石鹸で手を洗い汚れを洗い流し、少しでも感染が広まらないよう皆さんで努力し、この危険な時期を乗り切りましょう。Feb 2020

Ref:
https://lettre-du-nature.com/archives/5188
https://kireinasekai.net/rorieyakuwarikouka/
https://www.thejoyofplants.co.uk/bay-laurel
https://www.herbal-supplement-resource.com/bay-laurel-benefits.html
ローレルオイルの色 熟した実から絞られる高級オイルはとても深い色。この色味が出来上がる石鹸に影響してきます。左が2010年11月、右が2017年11月搾油(輸入元提供)

沢山の実からほんの少ししか取れない貴重なオイルのため高価です。エキストラタイプには40%も配分され、石鹸作りの技術面においてはぎりぎりの配分となっています。材料は全て無農薬です。


*植物性ですのでヴィーガンの方もご利用いただける商品です

添加物について

製造方法と刻印

1. 釜焚き 原材料を3日間加熱。当主のアデル氏がかならず味見をし鹸化状態を確認。このクッキング作業をする職人たちは自分たちをザイトゥーン(オリーブ)と名乗り誇り高き専門職として家族代々引継がれています。
2. 成型 紙を敷かれたフロアに石鹸原液を流す。独自の物差しで高さを図りながらの作業。
3. 切断・刻印 固まってきたら子供を乗せた切断機を大人数人で引っ張りながら石鹸を切り、石鹸の一つ一つに刻印を押す。職人たちはサボーニ(石鹸)と名乗っています。
4. 熟成 出来上がった石鹸は交互に積まれ1-2年自然乾燥させられ熟成させる。表面が飴色になったころクリーニングをして出荷。

アレッポの石鹸 釜焚き作業 石鹸の成型 現役をフロアに長し固まるまで待つ 出来立てのアレッポの石鹸に刻印を押してゆく

オリーブの収穫が10月から12月頃。石鹸作りは冬の期間となり、原液が固まるのも早く午前3時頃からのカッティングの作業となります。良質な材料のみを使い、長期乾燥による熟成がよい石鹸を生み出す秘訣だそうです。

<刻印>

石鹸には品質な月桂樹を使用した高級な石鹸という意味と、製造メーカーのアデル・ファンサの社名及び石鹸工場の許可番号が記された刻印が押されています。


左 エキストラ40 / 右ノーマルタイプ

動画でどうぞ!
アレッポの石鹸の製造過程 by 輸入元 株)アレッポの石鹸

アレッポの石鹸の製造メーカー

アデル・ファンサ社 370年の歴史ある名家。伝統的製法を守り、どんな状況下においても労を惜しまず品質にこだわった姿勢を持つ会社です。現在会社を取りまとめているのは社名にあるアデルさんの息子のタラール・ファンサ氏。るアデル氏は今でもクッキングには立ち合い厳格に原液のチェックをしています。アレッポ市での工場では内戦のため操業が不可能となり地中海の港町のラタキアへ第2工場設立。移動時にはスタッフの確保を含め、相当な苦労を重ねていらっしゃったと思います。

作業をする職人たちも自分たちの仕事に大変な誇りをもち、伝統的製法を守り一丸となって良質な石鹸を作り続けています。特に日本への石鹸を送り続けている事は大変なプライドとなっているそうです。素晴らしい石鹸を作り出荷してくださる工場の皆さんへ感謝とともに、内戦が収束し一刻も早く平和が訪れる事を願っています。

ISO9001取得アレッポの石鹸 ISO9001取得
製造元アデル・ファンサ社はアレッポの石鹸が健全で安全な品質である事の証として、国際基準化機構(ISO)による品質マネジメントシステムの認証を取得いたしました。企画段階における製品の特性を含めた仕様、原材料の調達、製造の各工程、保管、輸送およびその全工程での品質仕様などの石鹸製造にかかるすべてを一つ一つ文書として記録を残し、一貫した徹底管理で、よりよい製品とサービスの質の向上を約束しているものです。

少しずつ内戦から落ち着きを取り戻しつつある今の時期のISO9001認証取得は、アデル・ファンサ社のたいへんな企業努力によるものです。高品質をお約束し、安心してご利用いただける石鹸をご提供する事が何よりも大切な事であり、それがお客様からの信頼に繋がっています。皆様にも引き続きご愛顧をお願い申し上げます。2020年4月